下請債権保全支援事業は国が助成してくれるファクタリングサービスです。下請債権保全支援事業について解説します。

下請債権保全支援事業とは?

下請建設企業の元請建設企業に対する売掛債権(手形を含む)をファクタリング会社が保障する保証ファクタリングに対して、国土交通省が保証料を一部負担してくれる制度のこと

不動産業界では、下請けの建設業者や資材業者が元請建設企業に対して保有する売掛債権の金額が過大になりやすいのです。また、建設工事の期間も数か月から、数年と長い為、売掛金が入金するまでの期間が長期間に渡ってしまうのです。

工事を例にすれば

工事をしてくれる従業員、職人に対する支払いが先に出てしまい、何ケ月、何年と工事をしてやって物件が完成し、工事代金が支払われるのです。

これでは当然下請けの建設業者はキャッシュフローが悪化し、資金繰りに窮することになります。

それでも契約の方法やつなぎ融資などで持ちこたえることもできますが、売掛金が支払われる前に元請建設企業が倒産してしまったら、連鎖倒産に追い込まれてしまう可能性が高いのです。連鎖倒産があれば雇用も不安定になります。

国土交通省では、この状態を回避するためにファクタリング会社に支払う保証料の援助をして、元請建設企業が倒産しても、売掛金が支払われる環境を整備しようとしているのです。

これが「下請債権保全支援事業」です。

下請債権保全支援事業の対象

下請建設企業等

  • 元請建設業者から建設工事の全部、一部を直接請負っている下請建設企業
  • 元請建設業者に建設工事に関わる資材を直接供給している資材業者
  • 資本金20億円以下
  • 常時雇用する従業員数1,500人以下

元請建設企業(保証対象となる企業)

  • 保証を開始する年度および前年度に公共工事の受注実績がある

または

  • 保証を開始する日において有効な経営事項審査を受けている

下請債権保全支援事業を取り扱えるファクタリング会社

  • みずほファクター株式会社
  • SMBCファイナンスサービス株式会社
  • 三菱UFJファクター株式会社
    ・・・

などの大手銀行系列のファクタリング会社、リース会社が中心です。

詳細は国土交通省のウェブサイトで確認できます。

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk2_000033.html

下請債権保全支援事業での助成金

2016年度

保証料率の2分の1
(ただし、年率1.5%を上限とする)

下請債権保全支援事業での売掛債権の保証額

  • 請求書の写しがあれば請求金額の80%が上限
  • 元請が発行する支払通知書の写し、手形の写しがあれば額面金額の100%が上限

まとめ

下請債権保全支援事業は国土交通省が下請け建設業者のために設立した助成制度です。取り扱えるファクタリング会社は大手企業に限られてしまいますが、売掛債権の入金までの資金繰りが苦しくなってしまう、下請建設企業や資材業者は保証料の一部が助成金で賄われるため、検討すべきファクタリングサービスとなります。