doctor3128_128ファクタリングの2社間ファクタリングの仕組みとメリットデメリットについて解説します。

2社間ファクタリングとは

2社間ファクタリングは

  1. 「ファクタリングで資金調達をする利用会社」
  2. 「ファクタリング会社」

の2社だけで取引をするファクタリングの方法のことを意味します。

「えっ、それって普通なんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、本来のファクタリングというのは

  1. 「ファクタリングで資金調達をする利用会社」
  2. 「売掛先(取引先)」
  3. 「ファクタリング会社」

の3社間で行うのが普通なのです。

なぜ、「売掛先(取引先)」が必要なのか?

売掛債権を買い取るのがファクタリングという資金調達方法です。

売掛債権を買い取るのであれば、本来は売掛先が売掛債権のお金を入金するときには売掛債権を現時点で保有しているファクタリング会社の口座に入金すべきだからです。

そうすれば、「ファクタリングで資金調達をする利用会社」がファクタリング会社に支払う前に持ち逃げするなどのリスクも抑えられるのです。世界的にファクタリングと言えば、3社間ファクタリングを意味するのです。

じゃあ、なぜ日本だけ2社間ファクタリングを行うのでしょうか?

日本ではファクタリングを行うことに対するネガティブイメージがある!

海外では古くからファクタリングが行われてきたこともあり、与信管理や売掛債権管理などのアウトソーシング先としてファクタリング会社を利用してきた歴史があるのです。

一方、日本では手形割引というファクタリングに似たサービスの方が浸透していたため、「ファクタリングをする会社=資金繰りが苦しい会社=倒産しそうな会社」という間違ったイメージが定着してしまったのです。

結果として、3社間ファクタリングをするときに

売掛先である取引先(クライアント)に

「ファクタリングを利用するので今回の売掛債権に関しては、ファクタリング会社A社の口座に入金お願いします。」

と言うと

「わかりました。」

とは言うものの

「(あれっ、この会社資金繰りがやばいんじゃないの?今後の取引は見送った方がいいだろうな。)」

と勘繰られてしまったことで、今後の継続取引に支障がでてしまうことになりかねないのです。

このネックを解消するために登場したのが売掛先である取引先(クライアント)に知られずにファクタリングを行う「2社間ファクタリング」なのです。

2社間ファクタリングの仕組み

factoring_shikumi_zu_2

2社間ファクタリングの場合は、売掛債権を買取ますが、その代金回収依頼をファクタリングの利用会社が請負という方法を取ります。集金代行業務委託契約をファクタリング会社と利用会社の間で締結するのです。

結果、売掛先である取引先(クライアント)は今まで通りに何も知らずにファクタリングの利用会社に期日通りに入金をします。

入金されたファクタリングの利用会社は、集金代行業務委託契約に則って売掛債権の入金額ををファクタリング会社に入金しなおすのです。

2社間ファクタリングのデメリット

メリットは、前述した通りで

  • 売掛先である取引先(クライアント)に知られない
  • 知られないからファクタリングを利用したからと言って今後の取引に影響がない

ことです。

しかし、その分デメリットもあるのです。

最大のデメリットは

ファクタリング手数料が高くなること

です。

これはなぜかというと、2社間ファクタリングの場合は、集金代行をファクタリングの利用会社が行うことになります。

売掛先からの入金が一旦はファクタリングの利用会社に入るのです。

「ここで逃げられたらどうなるでしょうか?」
「ここで倒産してしまったらどうなるでしょうか?」
「ここで使い込まれたどうなるでしょうか?」

ファクタリング会社は売掛債権の買取額をすでに利用会社に入金しています。

ファクタリング会社は、そのまま損をしてしまうことになるのです。

3社間ファクタリングであれば、売掛先からファクタリング会社に直接的に入金があるため、売掛先の信用度さえ高ければとりっぱぐれる可能性というのは非常に少ないのですが、2社間ファクタリングの場合は、ファクタリングの利用会社が少しでも悪さをすると貸し倒れしてしまうリスクが非常に高くなってしまうのです。

実際に2社間ファクタリングを行っているファクタリング会社は

「売掛先からの入金を別のモノに使ってしまった。」
「売掛先からの入金が自動引き落としで引き落とされてしまった。」
「連絡がつかない」
・・・

などのトラブルが発生しているのです。

結果として、ファクタリング会社にとってのリスクは

2社間ファクタリングの方が圧倒的に大きい

ことになります。

そうなると

2社間ファクタリングの方が手数料を高く設定しなければ割に合わない

となってしまうのです。

2社間ファクタリングは、売掛先である取引先(クライアント)に知られないという大きなメリットがある一方、ファクタリング手数料が高くなってしまうデメリットがあるファクタリング方法なのです。

現実的には日本では圧倒的に2社間ファクタリングを利用する方が多いようです。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング
売掛先通知なしあり
入金口座そのまま
変更可の場合手数料が安くなる
ファクタリング会社の口座へ変更
債権譲渡登記なしなし
手数料6%~40%
20%が相場
1%~5%前後
代金回収利用会社が行う
集金代行業務委託契約
ファクタリング会社が行う
利用まで数日数週間
※売掛先の同意までの時間が必要
審査基準売掛先の信用度
利用会社の経営状況
利用会社の経営者の信用度
売掛先の信用度
取引先(売掛先)に
知られることでの
取引停止リスク
なしあり

まとめ

2社間ファクタリングは、売掛先である取引先(クライアント)に知られないという大きなメリットがある一方、ファクタリング手数料が高くなってしまうデメリットがあるファクタリング方法です。

ファクタリングの手数料は前述したような事情があるため

  • 取引回数が増えてきて信用が増えた場合
  • ファクタリング利用会社の信頼性が高い場合

には手数料も安く設定できるようです。ただし、初回の方や信用度が低い利用会社の場合は、20%前後のファクタリング手数料が一般的な相場となっています。

3社間ファクタリングが普及するのが一番ですが、現時点で中小企業や零細企業がファクタリングを利用する際には2社間ファクタリングを選ぶのが現実的な選択肢となってしまいます。