palette128_128ファクタリングには買取る債権の種類や買取方法によって、いくつかの種類があります。今回はファクタリングの種類について解説します。

ファクタリングの種類比較

ファクタリングの種類は大きく分けて4種類あります。基本的には業種によって、利用するファクタリングの形態が変わってくる形になっています。

ファクタリングの種類一括ファクタリング一括ファクタリング医療報酬債権ファクタリング保証ファクタリング国際ファクタリング
取引形態2社間3社間3社間2社間3社間
売掛先への通知不要必要必要不要必要
引受方法買取買取買取保証保証
債権の種類売掛債権売掛債権医療報酬債権売掛債権輸出債権
支払元国内企業国内企業国民健康保険
健康保険組合
国内企業海外企業
利用会社の種類売掛金が発生するすべての企業売掛金が発生するすべての企業病院、クリニック、介護施設、調剤薬局、歯科クリニックなど売掛金が発生するすべての企業
建設業が多い
輸出企業
メーカー、卸業者、小売業者など
資金調達スピード最短即日数営業日数営業日売掛先の倒産時支払代金回収時

一括ファクタリング

一括ファクタリングとは

売上として企業が保有する「売掛債権」を買い取る形のファクタリングサービスのこと

売掛債権を譲渡して、ファクタリング会社がそれを買取る基本的なファクタリングサービスのことです。2社間ファクタリングも、3社間ファクタリングも、一括ファクタリングの取引方法による分類になります。

対象となる業種

BtoBのビジネスモデルで「売掛債権」を保有する企業

売掛債権のないカスタマー向けの現金商売の企業は利用することができません。

一括ファクタリングのメリット

2社間3社間
・最短即日の資金化
・融資でない資金調達
・審査が通りやすい
・売掛先の倒産リスク回避
・売掛先への通知不要
・融資でない資金調達
・審査が通りやすい
・売掛先の倒産リスク回避
・ファクタリング手数料が安い

一括ファクタリングのデメリット

2社間3社間
・ファクタリング手数料が高い・売掛先への通知が必要

医療報酬債権ファクタリング

医療報酬債権ファクタリングとは

医療報酬債権を買い取る形のファクタリングサービスのこと

自由診療ではない保険診療の場合、病院やクリニック、調剤薬局などは社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会に請求します。

保険で支払われている分を国保や社保に請求するということです。自己負担が約3割ですから、7割は保険金から回収しなければならないのです。これが「医療報酬債権(診療報酬債権)」です。

これは介護報酬債権、調剤報酬債権も同様です。

医療報酬債権(診療報酬債権)は入金までに3か月ぐらいのタイムラグが発生します。入金は翌々月なのです。この資金繰りの悪化を避けるために利用するファクタリングサービスのことを「医療報酬債権ファクタリング」と呼ぶのです。

対象となる業種

病院、クリニック、調剤薬局、介護事業者など

医療報酬債権ファクタリングのメリット

・早期資金化が可能
・キャッシュフローの改善

医療報酬債権ファクタリングのデメリット

・ファクタリング手数料が高い

保証ファクタリング

保証ファクタリングとは

売掛債権を買取るのではなく、万が一売掛先が倒産したら売掛債権の入金を限度額の範囲内で保証するファクタリングサービスのこと

あまりメリットがないファクタリングサービスのように感じますが、実は建設業を中心とした会社に重宝されるファクタリングサービスなのです。

建設業者は、工事を請け負ってから完成するまでに長い年月を要します。大規模マンションであれば着工から竣工まで3年ぐらいの時間がかかることもあるのです。入金があるのは基本的に竣工時ですので、3年間も先だしで従業員の給料などを支払わなければならないのです。万が一、3年後に売掛先が倒産して入金がなければ、連鎖倒産ということになってしまいます。

この事態を避けるために売掛債権を保証する形の「保証ファクタリング」というサービスがあるのです。このファクタリングサービスは国土交通省による「下請債権保全支援事業」の支援を受けることができるので、ファクタリング手数料(保証料)の業者の負担は助成金で軽減されます。

建設業者以外でも、保証ファクタリングは利用することができます。入金までの期間が長い業種ほど保証ファクタリングは有効な選択肢になります。

対象となる業種

下請けの建設業者、資材業者、BtoBのビジネスモデルで「売掛債権」を保有する企業

保証ファクタリングのメリット

・売掛先の倒産リスク回避
・ファクタリング手数料が安い
・保証料を国土交通省が負担
(下請債権保全支援事業)

保証ファクタリングのデメリット

・限度額までしか保証されない
・売掛先の倒産時にしか支払いはない

国際ファクタリング

国際ファクタリングとは

輸出企業の輸出債権をファクタリング会社が買い取るファクタリングサービスのこと

輸出企業は自社の商品を海外の販売先(バイヤー)に輸出することになります。日本国内であれば信用調査などは帝国データバンクなどを活用すれば企業自身でも行うことは可能ですが、海外の企業となるとその信用調査は専門の会社に委託する方が手間はかからないのです。

通常、貿易取引では「L/C(エルシー)」という銀行が保証したという信用状が利用されます。

信用状:L/C(エルシー)とは

輸入企業の取引銀行が、商品代金の受取人である輸出企業に対して代金の支払いを確約した保証状のこと

ですので、「信用状:L/C」を使えば貿易取引のリスクは回避できるのですが、信用状開設には手間と費用がかかるため、それを省略する形で代わりにファクタリングサービスを利用するのです。

国際ファクタリングでは輸出先企業の国のファクタリング会社と日本のファクタリング会社が連携してサービス提供を行い、輸出債権の保証や買取を行うのです。

国際ファクタリングのメリット

・代金回収を自社でしなくて済む
・信用状(L/C)取引が不要。L/Cの手間やコスト負担もない

国際ファクタリングのデメリット

・輸出企業が費用負担
・売掛先への通知が必要

まとめ

中小企業が利用するのは主に「一括ファクタリング」ですが、ファクタリングは「医療報酬債権ファクタリング」「保証ファクタリング」「国際ファクタリング」などがあり、業種や債権の種類によって使い分けるものであることを理解しておきましょう。