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ファクタリング審査における「債権譲渡登記ができるかどうか?」とはどんな点を審査するものなのでしょうか?今回はファクタリング審査「債権譲渡登記」について解説します。
ファクタリング審査「債権譲渡登記」とは
債権譲渡は民法で下記のように定められています。
民法466条
債権は譲り渡すことができるが、当事者である債務者が反対をした場合には適用できない
民法467条
指名債権の譲渡の対抗要件は、通知・承諾のいずれも確定日付のある証書でなければならない。ここでいう確定日付の証書とは、公証人による私署証書への確定日付の付与や内容証明郵便のことをいう。
債務者以外の第三者に対抗するための要件として「確定日付の証書」が必要になるのです。
第三者の対抗要件とは?
簡単に言えば、ファクタリングでファクタリング利用会社の経営者がファクタリング業者A社とファクタリング業者B社の2社に同じ売掛債権を譲渡していたらどうなるでしょうか?
1つの売掛債権100万円に対して
ファクタリング業者A社も80万円で買取
ファクタリング業者B社も80万円で買取
をしていた場合には、100万円しか売掛債権がないのに160万円もらっていることになります。当然、こんなことは通らずに入金がなかった方のファクタリング業者は経営者に対しては「どうなっているんですか?」、ファクタリング業者A社に対して「うちの売掛金なので返してください。」とトラブルになります。
このときに『ファクタリング業者A社が先に「確定日付の証書」で債権が譲渡されてた』ということを証明できれば、ファクタリング業者B社が何を言ったとしても売掛金はファクタリング業者A社のものになるのです。
「確定日付の証書」があればファクタリング業者A社にとっての第三者であるファクタリング業者B社に対抗することができるのです。
「確定日付の証書」に該当するのが債権譲渡登記であり、登記をすることで発行できる登記事項証明書になるのです。
「債権譲渡登記」ができれば安心してファクタリング業者が買取れる
「債権譲渡登記」ができるのであれば、ファクタリング業者は、万が一他のファクタリング業者に同じ売掛債権を売却していたとしても、その業者が債権譲渡登記をしていなければ、第三者に対抗できることになります。
不動産登記、法人登記と同じように、法律上でその債権の保有権が認められるのです。
「債権譲渡登記」が可能であれば、ファクタリング審査は通りやすくなるということです。
「債権譲渡登記」の注意点
利用できるのは法人のみ
「債権譲渡登記」は法人しか利用できません。個人事業主などは対象外なのです。結果として、ファクタリングは個人事業主不可としているところは少なくありません。法人と個人事業主が両方可のファクタリング業者であっても、個人事業主はファクタリング審査が通りにくくなります。
売掛先に知られるリスクがわずかながらある
売掛債権の譲渡登記は、法人登記と同じで登記所に登記するものです。法人登記は誰でも閲覧ができるのと同様で、債権譲渡登記も誰でも検索することが可能です。
可能性としては非常に低いのですが、売掛先が債権譲渡登記の内容を検索した場合に、2社間ファクタリングをしていても、譲渡先に債権譲渡をしたことがばれてしまうのです。
ただし、わざわざ債権譲渡登記を検索する人などほとんどいないため、このケースは99%ないと言っていいでしょう。
まとめ
債権譲渡登記をすることで、ファクタリング業者は法律的に債権の譲渡を認められます。
そのため、債権譲渡登記ができればファクタリング審査も通りやすくなるのです。