ファクタリングとでんさいは一体何が違うのでしょうか?今回は「ファクタリングとでんさいの違い」をメリットデメリットで比較していきます。
ファクタリングとは
発生した売掛債権を期日前にファクタリング手数料を除いてファクタリング会社に譲渡する資金調達方法のこと
でんさいとは
売掛債権や手形の代わりに支払いをする「債権」をデータで管理する新しい金銭債権のこと。でんさいのネットワークを利用すれば、発生したでんさいを譲渡する形で支払期日前に資金調達することができる
というものです。
どちらも商品やサービスを顧客へ販売することで発生した「債権」を支払期日前に資金化することができます。ではその違いはどこにあるのでしょうか?
債権自体が違う
- ファクタリング → 売掛債権
- でんさい → 電子登録債権
ですので、債権の種類が異なります。ビジネスの商取引では長いこと「売掛債権」による取引が行われてきました。商品やサービスを納品したら、請求書を送って、翌月末、翌々月末に支払われるような取引です。
電子登録債権(でんさい)は新しくできた債権であり、銀行のネットワーク「でんさいネット」に支払企業が債権の発生記録請求をすることで、債権として公的に保証されるのです。登記するようなものです。
今までは納品書、検収書、請求書、領収書など書面のやり取りのみで公的に第三者売掛債権の発生を保証する仕組みはありませんでした。(※売掛債権の譲渡登記などは除く)
しかし、これが「でんさい」電子登録債権では電子データとして、全国銀行協会が運営する「でんさいネット」に残るので、「保証」という意味で確実性が上がるメリットがあります。
一方で、「でんさい」を導入している企業自体があまりなく、普及が進んでいないというデメリットもあります。昔ながらの業務フローを新しいものに変えるにはすべての取引先と足並みをそろえないとコスト高になってしまうので、なかなか導入が進まないのです。
結果として「今お持ちの債権は?」と中小企業に聞けば99%が「売掛債権」と答えるのではないでしょうか。これでは「でんさい」で資金化しようとしても、そもそも「でんさい」を持っていなければ利用できないのです。
倒産時の返済義務が違う
- ファクタリング → ノンリコース(譲渡した債権の売掛先が倒産しても返済する責任はない)
- でんさい → 保証人になる(譲渡した債権の売掛先が倒産したら返済する義務がある)
のです。
「でんさい」の場合は、手形割引のように譲渡した債権の売掛先が倒産してしまった場合のリスクは、利用会社が持たなければならないのです。
「ファクタリング」の場合は、譲渡した債権の売掛先が倒産してしまっても、利用会社の返済義務はないのです。
最近では、銀行も「でんさいファクタリング」というサービスを始めています。この「でんさいファクタリング」はでんさいを早期に買い取るサービスですが、ファクタリングと同じように譲渡した債権の売掛先が倒産してしまっても、利用会社の返済義務はないのです。
利用時の契約方法が違う
- ファクタリング → 新しいファクタリング会社を利用するたびに契約が必要
- でんさい → 取引先がすでにでんさい利用も申込をしていれば契約は不要
ファクタリングの場合は、ファクタリング会社との一対一の契約ですから、別のファクタリング会社を利用するたびに契約を交わす必要があります。同じファクタリング会社であっても、別の売掛債権を譲渡するときには契約が必要になります。
でんさいの場合は、ほとんどの銀行で利用可能ですので「でんさい」の利用登録をしている取引先であれば、新規の手続きをせずに「でんさい」を利用することができます。
まとめ
「でんさい」にも、「ファクタリング」にも、一長一短があります。
とくに「でんさい」を利用したくても、取引先が利用していなければ導入できませんし、今ある債権を売却したいというタイミングでは「売掛債権」しかない場合の方が圧倒的に多いので、選択肢として「ファクタリング」しかないのです。
今後、「でんさい」が多くの企業で導入されるようになれば「ファクタリング」よりも「でんさい」で債権譲渡という選択肢がでてきますが、まだ時期尚早というのが現実です。