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2社間ファクタリングのメリットとデメリット
2社間ファクタリングには
- 「売掛先の承諾が不要」
- 「最短即日の資金化が可能」
- 「審査は売掛先の信用力の審査であり、譲渡する会社の信用力はあまあり関係がない」
というメリットがあります。
これは「売掛先に売掛債権を譲渡したことが知られると、今後の取引に差し支えがある」「すぐに資金化したい」と考える中小企業の経営者には大きなメリットとなっています。
一方で
2社間ファクタリングのデメリットは
- 「ファクタリング手数料が高い」
ことです。
相場では「20%」が多いようです。
- 利用実績が多い
- 経営状況が良い
- 売掛先の信用力が高い
という条件があれば、これが下がっていくのです。
では、大手の金融機関が2社間ファクタリングに手を出さない理由について解説します。
理由その1.銀行は「でんさい」を普及させなければならない政治的理由がある
「でんさい(電子記録債権)」とは
企業間取引で発生した債権をネットワークで電子データとして管理する新しい金銭債権のことです。
手形というアナログの管理から、電子データでの債権の管理に移行しつつあるのです。これを提供しているのが「全国銀行協会」が出資した株式会社全銀電子債権ネットワークです。
「全国銀行協会」は、銀行が加盟してできている協会ですから、銀行はその方針に従う必要があります。
彼らは
- ファクタリングを普及させる ×
- でんさいを普及される ○
ことを重視し、売掛債権自体を「でんさい(電子記録債権)」に移行させ、でんさい(電子記録債権)の譲渡というサービスを普及させたいのです。
しかしながら、現時点では「でんさい(電子記録債権)」は「手形」の代替サービスに留まっており、「売掛債権」からの切り替えはほとんどないのが実情です。
理由その2.貸金業法に抵触する恐れがある
銀行以外にも、大手のノンバンクがありますが、2社間ファクタリングを扱っているところはほとんどありません。
なぜなら、
ファクタリング(売掛債権の譲渡)は貸金業法では明確な規定がされていない。
からです。
仮に
ファクタリング(売掛債権の譲渡) = 貸金業法の規定する「貸付け」
であれば
貸金業法では100万円を超える貸付に関しての金利は年率15.0%が上限です。
- 元本10万円未満:20%
- 元本10万円以上100万円未満:18%
- 元本100万円以上:15%
つまり、「ファクタリング手数料:20%」というのは、法定金利を超えてしまっているのです。
しかし、
ファクタリング(売掛債権の譲渡) ≠ 貸金業法の規定する「貸付け」
であれば、貸金業法の規制は受けないので、法定金利は関係ありません。「ファクタリング手数料:20%」でも問題ないのです。
結局、ファクタリング(売掛債権の譲渡)が貸金業法の規定する「貸付け」に該当するかどうか?の明確な定義づけがされていないことで、大手のノンバンクも、ファクタリング手数料が法定金利の範囲内に収まる3社間ファクタリングは提供できても、法定金利を超えてしまう2社間ファクタリングは提供しにくい環境にあるのです。
すでに金融庁の免許で貸金業を営んでいるノンバンクほど、免許取り上げが大きな経営上のリスクになるため「貸金業に抵触する可能性がある」というだけでも、なかなか2社間ファクタリングの提供に踏み切れないのです。
結果的に、2社間ファクタリングを提供しているのは中小企業のノンバンクばかりなのです。
まとめ
- 銀行 → 「でんさい」への切り替えを政治的にやらなければならない
- ノンバンク → 貸金業に抵触する可能性があり免許取り上げリスクがある
ため、大手の銀行やノンバンクは「2社間ファクタリング」を提供しておらず、ファクタリング自体を提供していたとしても、ほとんどが「3社間ファクタリング」なのです。
ファクタリングの利用を検討している経営者の方は、2社間ファクタリングは大手じゃなから不安と感じる方も多いかと思いますが、そもそも大手は参入していないサービスということを理解する必要があります。