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でんさい(電子記録債権)とは?
「でんさい(電子記録債権)」は、企業間取引で発生した債権をネットワークで電子データとして管理する新しい金銭債権のことです。
これだけでは何を言っているのか?よくわかりません。噛み砕いて説明すると
今までは「手形」「売掛債権」で企業間取引の取引は行われてきました。
しかし、ここには問題も多くありました。
手形の問題点
- 作成コスト、交付コスト、保管コストの発生
- 紛失リスク
- 盗難リスク
- 分割ができない
- 人的抗弁(当事者しか主張できない抗弁)の発生リスク
売掛債権の問題点
- 譲渡対象債権が存在していないリスク
- 二重譲渡が発生するリスク
- 売掛先への通知が必要になる(3社間ファクタリングの場合)
などです。
ファクタリングの場合、二重譲渡や不在リスクを回避するために「売掛先への通知」「債権譲渡登記」で譲渡の証明をする設計となっているのです。
「これって、インターネットが浸透している現代のやり方にはそぐわないよね?」
ということになり、
インターネット(ネットワーク上)で債権を電子的に管理できれば
- コストが削減できる
- 紛失リスク、盗難リスクが発生しない
- いちいち登記をする必要がない
- 常に証拠が残る
というメリットが出てくるため、「でんさい(電子記録債権)」が開発されたのです。
「でんさい(電子記録債権)」は、企業間取引の情報を電子データとして管理することで
- コスト削減
- リスク軽減
- 譲渡や割引の促進
- データの可視化(記録の開示)
を実現する方法と言えます。
「でんさい(電子記録債権)」ができた背景
中小企業の資金調達の円滑化等を図ることを目的に「電子記録債権法(2008年12月施行)」により創設された、新しい金銭債権です。
年月 | 経緯 |
---|---|
2003年7月 | ・IT戦略本部決定「e-Japan 戦略 II」 |
2005年12月~ | ・法務省、経産省、金融庁「電子債権に関する基本的な考え方」・法制審議会、金融審議会等での検討 |
2007年6月 | ・電子記録債権法の成立 |
2008年12月 | ・電子記録債権法の施行 |
「でんさい(電子記録債権)」の利用
「でんさい(電子記録債権)」は、全国銀行協会が100%出資して設立した株式会社全銀電子債権ネットワークが運営している「でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)」に参加している銀行を通して取引することになります。
「でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)の加盟銀行
業 態 | 参加金融機関数 |
---|---|
都市銀行 | 5 |
地方銀行 | 64 |
信託銀行 | 2 |
第二地銀 | 41 |
信用金庫 | 264 |
信用組合 | 104 |
JA/信連 | 123 |
そ の 他 | 4 |
合 計 | 607 |
※平成29年1月23日現在
とほとんどの銀行が加盟しているため、法人口座を持っていれば、新たに契約を結び直すことなく「でんさい」を利用することが可能です。
まとめ
「でんさい」は、徐々にですが利用している企業が増えている債権管理の選択肢です。